ネットワーク基本のキ⑥

今回は位相の回転について。
※ 過去のシリーズはこちら ⇒   番外編   

シングルドライバであれば考慮する必要のない『位相』ですが、多ドラを実装する際には避けて通れない関門です。

難しい理論を全部省いていきなり結論です。
試聴して気に入らなければツイーターを逆相で繋いどけ!
・・・・以上です('Д')


位相のことを語りだすと、そもそも電流の位相のことを言っているのか、それとも音波の位相のことを言っているのか、波の干渉といっても音波は縦波だけだし、ドライバの部品や音の反射などといった物理的な影響にも左右されるはずなので・・・・・




うがー!めんどくせー(# ゚Д゚)
ということで、位相=なんとなく波(電流の位相が回転すれば音波の位相も変わるはず)という超アバウトなイメージでお伝えします(涙)

※ あくまでも位相調整に関する私の脳内イメージです(勘違いもあるかもしれません)。そもそも電流と音波を分けずに位相を考えること自体間違っているのは承知のうえです。



1 ドライバ(スピーカー)に+-は存在しない
ドライバに流れる信号は脈流の交流です。
+-を交互に繰り返す波が一方方向(アンプのポジティブ⇒GND)に流れています。
ドライバのターミナル端子に+-の表記がありますが、単に端子①、端子②という意味であって電気的な+-ではありません。
分かりやすいようにダイナミックドライバのコーンの動きで説明すると・・・・
正相接続した場合は、交流の+が来るとコーンが前に、-が来るとコーンが後ろに振動して音を出しています。
ドライバのターミナルを+-逆に接続しても、これが反対になるだけで出てくる音は変わりません(ウーハーとか大口径のダイナミックドライバは若干変わるらしいですが)。
ですからシングルドライバイヤホンの場合、左右で統一していれば+-どちらに接続しても音は変わりません。




2 コンデンサは位相を進ませる
フィルタに使用するコンデンサは位相を進ませ、コイルは遅らせます。
位相のグラフが反転した状態を「180度位相が回転した」と言います。
机上の計算上だと素子1つの6dbフィルタで90度、2つの12dbフィルタで180度の回転となります。
※ ネットワーク基本のキ② 参照

※ 位相が進むというのは正確に言うと「電圧に対して電流が右にずれる(進む)」という意味です。コンデンサ直列の場合「電圧に対して電流が右にずれる」、並列の場合「電流に対して電圧が左にずれる」という状態になります・・・・多分(*_*)




3 多ドラだと位相回転が悪影響に 
波の干渉をご存知かと思いますが、波の山と谷は反対になると打ち消しあいます。
ソニーのノイズキャンセラーイヤホンは、外の騒音に対して180度反転した音を流して打ち消しています。
多ドラを搭載した場合、複数ドライバの位相のずれが「やばいポイント」にはまるとプチノイズキャンセラー機能発動で音が悪くなります。
そこで、どちらかのドライバを逆相接続にすると「やばいポイント」を避けることができるかもしれないということです。

※ 現実的には多ドラで全てのドライバの位相が完全に合致することはありません。
音域によりドライバの位相特性も常に変化していますし、そもそも出力されている音波は純粋な正弦波ではなく色々な倍音を含んだ「ごちゃまぜ波」なので。
普通にずれている分には「多ドラが位相特性悪いのは再生レンジの広さとトレードオフだから仕方がない」ですが、不運にも「やばいポイント」にはまった場合は調整するか・・・・・程度と考えてもよいかもしれません。



4 大原則は?
セオリーは6dbフィルターは正相接続、12dbフィルターは(ツイーターを)逆相接続だそうです。
ただし、先に述べたように現実は計算どおりにいきません。
ですから、結論は「聴いてみて良い方を選ぶ」です。

※ セオリーである「6dbフィルターは正相接続」は、ツイーターにコンデンサ、ウーハーにコイルを1個づつ付けた状態を想定しているようです。
カリスマ長岡鉄男氏の書籍によれば、このブログで推奨している「ツイーターにコンデンサ1個、フルレンジはスルー付け」の場合「経験上、逆相でうまくいくケースが多い」そうです。
【この場合はツイーターを逆相の方が良いことが多いらしい】






結論
私はくそ耳なので位相回転による音質悪化を感じ取れません(涙)


私の場合、f特性を計測した際に視覚的な不具合(ディップと呼ばれる激しい谷間)を認めたときだけ逆相接続にしています。
だって自己満足が大切ですから・・・・・・(^^)/
周波数特性の測定① 参照





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